脱レガシーシステム。いまどきのITインフラマネジメント
第1回「ライフサイクルの始めと終わり」調達・導入・構築・廃棄
サーバー・インフラ管理
- 公開:
- 2024/07/29

はじめに
デジタル技術の進化に伴い、企業のITインフラの役割は大きく変化しています。
かつては単なる「業務システム」として機能していたITインフラですが、今や「データドリブン経営」のデータ活用基盤としての役割も担うようになってきました。
この変化に伴い、より柔軟性の高いITインフラが求められるようになっています。
一方で、ITインフラのあり方も変化しています。
一時はクラウドへの一方的なシフトが進むと思われていましたが、最近では「ハイブリッドインフラ」という考え方が主流になりつつあります。
これは、オンプレミスとクラウドを組み合わせてインフラを最適化する方法です。
しかし、このような変化に対応しながら、高度化するサイバー攻撃への対策や、DX (デジタル・トランスフォーメーション) への対応も求められる中、情報システム部門の負荷は増す一方です。
本コラムでは、これらの課題に対応するための一つの答えとして、ITインフラのライフサイクル全般をカバーするアウトソーシングサービスの活用について考えていきます。
今求められるITインフラのあり方
システムライフサイクルの短期化
社会情勢や経済の変化が激しい今日、ITインフラも事業環境の変化に合わせて迅速に変革していく必要があります。

従来の長いライフサイクルを想定したシステムとそれにあわせたITインフラ、つまり固定的なオンプレミス環境では、システムの変更や拡張に時間とコストがかかりすぎるため、ビジネスのスピードについていけなくなる恐れがあります。
そこで、柔軟性の高いクラウドや仮想化技術・コンテナ技術を活用することで、必要に応じて迅速にリソースを増減させたり、新しい技術を導入したりすることが可能になります。
クラウドシフトから、ハイブリッドへ
数年前までは「クラウドシフト」と言われるぐらいクラウドへの全面移行が主流でしたが、最近ではクラウドとオンプレミスを併用する「ハイブリッドインフラ」が注目されています。
クラウドが常にベストソリューションとは限らないからです。
例えば、大規模なシステムや常時高負荷な処理を行うシステムでは、クラウド利用だとコストパフォーマンスが悪くなる場合があります。
また、データの機密性や法規制の観点から、一部のデータをオンプレミスで管理する必要がある企業も少なくありません。
そのため、クラウドとオンプレミスをバランスよく使い分け、それぞれの長所を活かすハイブリッドインフラの考え方が広まっています。
これにより、コスト最適化とセキュリティーの両立、さらには柔軟なリソース配分が可能になります。
複雑化、DX対応、人員不足で情シス部門の負荷は増すばかり
オンプレミスの運用の課題
ハイブリッドインフラの重要性が高まる一方で、オンプレミス環境の運用には依然として多くの課題があります。
- コスト面:
初期導入費用 (イニシャルコスト)、日々の運用・保守コスト、そして最終的な廃棄コストまで、多岐にわたるコストがかかります。
- ライフサイクル:
ハードウエアの老朽化や技術の進歩に対応するため、定期的なリプレースが必要です。
- 導入・構築の工数:
新しいシステムの導入や既存システムの更新には、多大な時間と労力がかかります。
増え続ける業務、不足する人手
ITインフラの複雑化に伴い、情報システム部門の業務は増える一方です。
ハイブリッド環境の管理はオンプレミスだけの時代と比べてさらに難しくなっています。
さらに、DXへの対応も求められる中、これらの業務をこなす人材の確保が大きな課題となっています。
日本のIT人材不足は深刻で、経済産業省の試算によると、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると言われています。
この「2030年問題」に加え、老朽化したシステムの刷新が必要とされる「2025年の崖」も目前に控えており、IT部門の負担はますます大きくなっています。
クラウドのようにオンプレが使えれば…
これらの課題に対する一つの解決策として、オンプレミス環境をクラウドのように利用できるサービスが注目されています。

ITインフラのサブスクリプション型サービス
例えば、HPE の GreenLake は、オンプレミス環境をサブスクリプション型で提供するサービスです。
これにより、初期投資を抑えつつ、必要に応じて柔軟にCPUやメモリ、ストレージなどのコンピューティングリソースを拡張できるようになります。
包括的なITインフラアウトソーシングサービス
横河レンタ・リースが提供する Cotoka for Systems のような包括的なアウトソーシングサービスを活用することで、ITインフラの調達・導入・構築・廃棄までのライフサイクル全体を外部にアウトソースすることができます。
これにより、情報システム部門はITインフラの運用・保守業務の負担から解放され、戦略的な業務に集中できるようになります。

このようなサービスを活用することで、オンプレミス環境でもクラウドのような柔軟性と効率性を実現できるようになります。
結果として、ハイブリッドインフラの管理負荷を軽減しつつ、DXへの対応に注力できる環境を整えることができるのです。
次回は、日々のITインフラの運用・保守・監視について、より詳しく見ていきます。