資産管理とは?管理を怠るリスクや適切な管理方法を紹介

PC管理

公開:
2025/03/21

資産管理とは、企業が保有する備品や現金、土地、設備、情報、権利などあらゆる財産を管理することを指し、これらを適切に管理することによって、資産の買い替えなどのタイミングを正確に把握できたり、従業員による資産の私物化などを防げたりします。

なお、資産管理は、表計算ソフトや固定資産管理機能付きの会計ソフト、固定資産管理システムやIT資産管理ツールなどで行えるため、それぞれのメリットを確認した上で、自社に合ったものを選びましょう。

この記事では、資産管理とは何かを、資産の種類や管理を怠るリスク、適切な管理を行う方法などとあわせてご紹介します。

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資産管理とは

企業における資産とは、自社が企業を運営する中で保有する財産すべてを指し、消耗品や備品、現金、預金、土地、株式、商品、設備といった有形物以外に、企業が所持する情報や権利といった無形物も資産として扱われます。
なお、資産には上記で挙げたようなもの以外にも、売掛債権や現在利益の出ていない権利など、今後財産としての価値が生じるものも含まれます。

資産管理とは、このような企業で保有するあらゆる資産を管理することを指し、適切に資産管理を行うことで、企業の資産を従業員が私物化するのを防いだり、資産の使用者や使用状況を正確に把握したりできるようになるでしょう。

資産は、1年以内に現金化できるかによって、流動資産と固定資産の2種類に分類されます。
また、PCやスマートフォン、ソフトウエアなどのITに関する資産については、IT資産に分類することもあり、PCなどの端末の脆弱 (ぜいじゃく) 性を狙って生じるサイバー攻撃を防ぐためには、IT資産の管理も重要です。

それぞれの資産の種類について詳しくは、次でご紹介します。

資産の種類

上記で触れたように、資産管理においては、流動資産や固定資産、IT資産の3種類に分けられます。
また、最近ではハードウエアやソフトウエアなどを購入するのではなく、月額の使用料を支払ってサービスを利用するサブスクリプションサービスを導入する企業も少なくないでしょう。
ここでは、基本的な資産の3種類と、サブスクリプションサービスを利用している場合の会計処理方法についてご紹介します。

流動資産

流動資産とは、仕入れと販売を繰り返す営業活動の中で生じる流動的な資産を指し、資産に流動性があるかは「正常営業循環基準」というルールに基づき判断します。

例えば、商品の販売を通じて得た現金や、預金、受取手形、有価証券、売掛金といった短期間で現金化が可能な資産 (当座資産)、企業で所有しており、販売することで現金化できる在庫 (棚卸資産) などが流動資産です。
なお、商品や商品の生産に使われる部品、原材料なども棚卸資産に含まれるため、流動資産であるといえます。

当座資産 現金や、短期間で現金化が可能な資産
(預金、受取手形、有価証券、売掛金など)
棚卸資産 企業で所有しており、販売することで現金化できる在庫
(商品、商品の生産に使われる部品、原材料など)

資産が流動資産であるかは、基本的にはまず正常営業循環基準に該当するかを判断し、通常の営業活動において生じない資産についても1年以内に現金化できるものであれば流動資産、1年以内に現金化できないものは後述の固定資産であると判断するとよいでしょう。

固定資産

固定資産とは、正常営業循環基準に該当せず、かつ1年以内に現金化できない資産を指し、仕入れと販売を繰り返す流動資産とは異なり、企業で長期的に保有することになります。

固定資産は、大きく分けて「有形固定資産」「無形固定資産」の2種類に分類され、それぞれ主に以下のような資産が該当します。
最近ではクラウドツールなどが普及しているため、有形固定資産だけでなく、無形固定資産の種類も多様化している点に注意が必要です。

有形固定資産 物理的に存在し、目に見える資産
(PC、スマートフォン、サーバー、土地、社用車、自社ビルなど)
無形固定資産 物理的に存在しないが、価値のあるもの
(借地権や特許権といった権利、クラウドツールなど)

さらに、固定資産は「減価償却資産」「非減価償却資産」の2種類に分類して管理します。
減価償却とは、資産の価値が時間の経過とともに低下するものと見なし、あらかじめ国税庁の「耐用年数表」で規定されている耐用年数に沿って、購入額を毎期で均等に計上する手続きです。

減価償却が可能な固定資産は、主にオフィスなどの建物や、建物に付属する設備、社用車、工具、PCなどの備品、無形固定資産などが挙げられます。
一方で、土地や建設中の建物など時間の経過を問わず価値が低下しないと考えられる固定資産は、非減価償却資産と見なされます。

減価償却資産 時間経過とともに価値が低下する固定資産
(建物、建物に付属する設備、社用車、工具、PCなどの備品、無形固定資産など)
非減価償却資産 時間経過とともに価値が低下しない固定資産
(土地、建設中の建物、歴史的な価値や希少性があり、代替が難しい古文書、古美術品など)

IT資産

IT資産は、上記でご紹介した流動資産や固定資産のうち、ITに関する資産を指します。
IT資産にはソフトウエアのライセンスも含まれており、このようなライセンスは提供元が定めている規約の範囲を超えた使用をすることでライセンス違反となり、違約金などが発生する可能性もあるため、特に慎重に管理することが大切です。

IT資産 ITに関する資産
(PC、スマートフォン、タブレット、サーバー、プリンター、OS、ソフトウエア、ライセンスなど)

なお、IT資産管理を行う際は、Microsoft Excel や Google スプレッドシートなどに各IT資産の情報をまとめて一元管理する方法や、IT資産管理の専用ツールを使用する方法が挙げられます。

本サイトでは、Excel をはじめとした表計算ソフトで管理する際に役立つテンプレートを配布中のため、ぜひご活用ください。

圧縮ファイル形式:zip (22KB)

また、PCを適切に管理するポイントについてご紹介している記事もあるため、ぜひあわせてご覧ください。

サブスクリプションサービスは資産に含まれる?

ここまで、流動資産や固定資産、IT資産についてご紹介しました。
最近では、ソフトウエアの使用料やワークスペースの賃借料をサブスクリプションサービスに加入して支払っている企業も少なくないでしょう。

サブスクリプションサービスは、「支払手数料」や「福利厚生費」「リース料」といった勘定科目で経費処理でき、特にPCやソフトウエアなどにおいては、資産としての管理や減価償却が必要なくなるため、オフバランス処理によるROA (総資産利益率) の改善が期待できます。

サブスクリプションサービスの種類 勘定科目
リース・レンタル リース料、レンタル料
ソフトウエア ソフトウエア
ドリンクサーバー 福利厚生費、消耗品費など
インターネットを通じて利用するサービス 通信費
区別の必要がないもの 雑費

IT資産管理を行うのが重要な理由

ここまで、資産管理の概要や資産管理の種類をご紹介しました。
特にIT資産管理は、企業でのコストを適切に管理したり、セキュリティー、コンプライアンスを維持したりするためにも重要なため、徹底して行うことが重要です。
ここでは、IT資産管理を行うのが重要な理由をご紹介します。

コストを削減するため

IT資産管理を行うことで、現在従業員が使用している端末はどれか、誰も使用していないサービスはあるかなどを可視化しやすくなるため、新たに資産を購入する必要があるかを判断したり、不要なサブスクリプションサービスを解約したりする際に役立ちます。

特にPCなどのハードウエアやソフトウエアは高額なものもあるため、在庫があるにもかかわらず新たに購入してしまうことで、コストを浪費してしまう恐れがあります。
なお、サブスクリプションサービスも、使用の有無にかかわらず、解約しなければ毎月自動的に使用料が発生するため、IT資産管理で使用状況を確かめ、使用していないサービスは解約することが大切です。

セキュリティーリスクを最小限に抑えるため

IT資産管理では、PCやスマートフォンなどを誰がどこで使用しているのか、アップデートによって最新の状態が保たれているかなどを確認できるため、端末の紛失による盗難や情報窃取、OSやソフトウエアの脆弱 (ぜいじゃく) 性を狙ったサイバー攻撃による情報漏えいなどのリスクを最小限に抑えられます。

また、外部からの攻撃だけでなく、内部不正によって情報漏えいが生じる可能性もあります。
IT資産管理を徹底し、誰がどの端末を使用しているのかを常に管理しておくことで、内部不正が生じた際も、原因の特定や対処を素早く行えるでしょう。

ライセンス違反を防ぐため

クラウドサービスやソフトウエアを使用する際は、購入したライセンスの使用可能数に応じて各従業員にアカウントが割り当てられます。

使用可能なライセンス数は契約内容に応じて規定されているため、現在いくつライセンスを使用しているのかを把握しておく必要がありますが、IT資産管理が適切に行われていない場合、意図せず規定の範囲を超えてライセンスを使用してしまう可能性があります。
このような行為はライセンス違反となり、違約金が発生したり、企業の信用が低下したりする恐れがあるため、特に注意が必要です。

資産管理を怠るリスク

ここまで、IT資産管理を行うのが重要な理由についてご紹介しました。
コストの浪費やセキュリティー被害へのリスク、コンプライアンス違反以外にも、資産管理を怠ることによって、以下のように減価償却を適切に行えなかったり、従業員が企業の資産を私物化してしまったりするといったリスクも生じるため、注意が必要です。

減価償却が適切に行えない可能性がある

資産管理を怠っていた場合、資産の数や価値を正確に把握できず、適切な減価償却費を計上できなくなる可能性があります。
計上が間違っていた場合、監査が入り是正勧告を受けたり、追徴課税によるペナルティーを受けたりする恐れもあるため、常に管理を徹底しておくことが大切です。

なお、資産の分類方法や税金の計算方法などを理解すると、確定申告時の無駄な納税を防ぎ、節税にもつながるため、あわせて覚えておくのもおすすめです。

資産の買い替えやアップデートのタイミングが判断できない

「資産の種類」でご紹介したように、PCやスマートフォンをはじめとした減価償却資産には耐用年数があります。
この耐用年数を目安に買い替えを行うことで、価値を損なわずに資産を利用し続けられるでしょう。
特に耐用年数を過ぎたPCなどは、動作遅延などの不具合や故障のリスクも高まるため、業務を円滑に進めるためにも、耐用年数を把握し、適切なタイミングで買い替えることが大切です。

また、OSなどの各種ソフトウエアは定期的に提供元から更新プログラムや修正パッチが配布されます。
これらのプログラムを適用させないと、脆弱 (ぜいじゃく) 性を狙ったサイバー攻撃を受けるリスクが高まるため、常に最新バージョンのプログラムが適用されているかを確認し、小まめにアップデートしましょう。

資産を従業員が私物化する恐れがある

資産管理を怠ることによって、企業の備品や貸与物などが従業員に私物化されてしまう恐れがあります。
従業員に企業の資産を私物化されてしまうことで、企業の利益が失われるリスクもあるため、注意が必要です。

企業の資産を従業員が持ち出し、私的利用することは社内不正利用にあたるだけでなく、持ち出した資産を売却して利益を得ることで業務上横領罪や窃盗罪に問われる可能性もあります。
このような資産には、業務で使用するデータなども該当するため、企業で使用する備品や貸与物、データは企業の資産であることや、ビジネス目的で使用していることなどを徹底して社内に周知し、適切な取り扱い方法を規定するといった工夫も必要です。

なお、PC管理においては中小企業で特に課題が見られています。
中小企業におけるPC管理の課題やおすすめの管理方法についてご紹介している記事もあるため、ぜひあわせてご覧ください。

資産管理を適切に行う方法とは

ここまで、資産管理を怠ることで生じるリスクについてご紹介しました。
上記のように、資産管理が徹底して行われていないことでさまざまなリスクが生じるため、以下のように Excel などの表計算ソフトで管理台帳を作成したり、固定資産やIT資産の管理ツールを導入したりするのもおすすめです。

表計算ソフトで管理台帳を作る

Excel や Google スプレッドシートなどの表計算ソフトで管理台帳を作成することで、コストをかけずに管理台帳を作成できます。
普段から業務で Excel などの表計算ソフトを使用しており操作に慣れている場合は、基本操作をはじめ、関数の追加といったカスタマイズを比較的簡単に行える点が特長です。

ただし、表計算ソフトで資産管理を行う場合は、手入力や共同編集による入力ミス、更新漏れといったリスクもあるため、管理する資産の数が多い場合は、作業の負担が大きくなる可能性があります。

Excel でIT資産管理を行う際に役立つテンプレートや、各項目について詳しくご紹介している記事もあるため、ぜひご覧ください。

会計ソフトを活用する

会計ソフトの中には、固定資産管理機能を標準搭載しているものもあります。
ソフトによっては、取得価額や耐用年数などを記入することで、自動的に償却率や残存価額などを計算できたり、入力されたデータをもとに償却仕訳を自動生成できたりするため、効率よく資産管理や会計処理が行えるでしょう。

ただし、すでに固定資産管理機能が付属していない別の会計ソフトを使用しているケースもあるでしょう。
この場合、別の会計ソフトに移行する必要があるため、ツールの操作に慣れなかったり、今まで利用していた機能が移行後に搭載されておらず、うまくツールを活用できなかったりする可能性があります。
あらかじめ現在の会計ソフトで利用している機能を確認し、移行後もスムーズに会計処理ができるかを確かめた上でソフトの移行を進めましょう。

固定資産管理システムを導入する

会計ソフトに固定資産管理機能が搭載されているものだけでなく、固定資産管理専用のシステムを導入するのもよいでしょう。
特に、すでに会計ソフトを導入しており、新たに固定資産管理機能の付いた会計ソフトの導入が難しい場合におすすめです。

固定資産管理システムでは、有形固定資産や無形固定資産の情報を管理し、各固定資産の状態や修繕歴などの記録、PCや備品などの現物管理、減価償却の自動計算、管理台帳の作成などさまざまな機能を搭載しています。

表計算ソフトでの手動管理がリソースを圧迫している場合は、このような固定資産管理システムを導入することで、そのほかの業務にも取り組みやすくなるでしょう。

IT資産管理ツールを導入する

PCやスマートフォン、サーバーなどのIT資産を適切に管理したい場合は、IT資産管理ツールの導入がおすすめです。

IT資産管理ツールでは、IT資産の台帳管理をはじめ、IT資産が保有するメモリ容量やIPアドレスなどのインベントリ情報や、ライセンス情報を管理できるため、IT資産のずさんな管理によるセキュリティーリスクやライセンス違反を防げます。

ただし、上記で挙げた固定資産管理システムやIT資産管理ツールなどは便利な一方で、ほとんどのツールが初期費用やランニングコストがかかり、高額になるケースもあります。
「費用対効果が得られなかった」「予算上運用が厳しい」といった状態にならないよう、事前に費用対効果を見極めたり、デモを使用して使い勝手を確認したりすることが大切です。

当社の「Simplit Manager™」は、初期費用・月額費用無料でご利用可能なIT資産管理ツールです。

Simplit Manager™ では、IT資産管理機能をはじめ、PC標準機のカタログ機能、PCの申請手配機能、棚卸機能、イベント通知機能、リプレース支援機能を搭載しており、PC運用における「計画→調達→導入→運用→廃棄」のPCLCMを円滑に行えます。

まとめ

この記事では、資産管理とは何かを、資産の種類や管理を怠るリスク、適切な管理を行う方法などとあわせてご紹介しました。

資産は流動資産と固定資産に大きく分けられ、中でもPCやスマートフォンなどITに関わる資産はIT資産として扱われることもあります。

このような資産を適切に管理しないことで、従業員が資産を私物化して企業の利益が減少したり、減価償却を適切に行えなかったりするため、表計算ソフトでの台帳管理や、固定資産管理機能付きの会計ソフト、固定資産管理システム、IT資産管理ツールなどを活用して、常に資産管理を徹底することが大切です。

当社が提供する Simplit Manager™ は、初期費用・月額費用無料でご利用いただけるIT資産管理ツールです。

なお、上記のツールは多くのお客様がPCレンタルサービスとあわせて利用しています。
業務用のPCはレンタルで導入することによって、固定資産税をレンタル会社が負担することになりオフバランス処理が可能になるため、ROA (総資本利益率) の改善や減価償却による価値の変動などのリスク回避にもつながるでしょう。
興味のある方はぜひご検討ください。

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監修

横河レンタ・リース株式会社 マーケティング本部 CDセンター

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